FAQ一覧

成年後見制度とは

成年後見制度とは,ある人(以下「本人」といいます。)の *判断能力が精神上の障害により不十分な場合(認知症高齢者,知的障害者,精神障害者等)に,本人を法律的に保護し,支えるための制度です。
例えば,本人のために預金の解約,福祉サービス契約の締結,遺産分割協議,不動産の売買等をする必要があっても,本人の判断能力が全くなければ,そのような行為はできませんし,判断能力が不十分な場合にこれを本人だけで行うと,本人にとって不利益な結果を招くおそれがあります。そのような場合に,家庭裁判所が本人に対する援助者を選び,その援助者が本人のために活動する制度が成年後見制度です。

したがって,本人の障害が身体的なものだけの場合や,本人が単なる浪費者,性格の偏りがあるだけである場合にはこの制度を利用できません。また,本人を保護するための制度ですから,本人の財産を贈与したり,貸し付けたりすることは原則として認められません。親族が本人の財産の内容を知る目的でこの制度を利用することも適切ではありません。

成年後見制度には,法定後見制度と任意後見制度の2種類があり,また法定後見制度には,成年後見,保佐,補助の3つの類型があります。

*判断能力:売買や贈与等をする際に、その行為が自分に有利なのか不利なのか、適正か不適正か等を考えるのに必要な精神能力

 

参考:東京家庭裁判所 成年後見申立ての手引 引用

2019年02月26日よくある質問:成年後見

成年後見とは

成年後見とは,本人が一人で日常生活を送ることができなかったり,一人で財産管理ができないというように,本人の判断能力が全くない場合です。その場合, 家庭裁判所が後見開始の *審判をするとともに,本人(成年被後見人)を援助する人として成年後見人を選任します。

成年後見人は,本人の財産を管理するとともに,広範な *代理権及び *取消権を持ちます。したがって,本人に代わって様々な契約を結ぶなどして,本人が日常生活に困らないよう十分に配慮していかなければなりません。申立てのきっかけと なったこと(遺産分割をする,保険金を受け取る等)だけをすれば良いものでは なく,成年後見人は,本人のために活動する義務を広く負うことになります。これは通常の場合,本人が亡くなるまで続きます。

なお,後見が開始すると本人の印鑑登録は抹消され,医師,税理士等の資格や会社役員の地位も失います。

*審 判:家庭裁判所が出す判断で裁判の一種。その内容が記載された書面を「審判書」という。
*代理権:本人に代わって,本人のために取引や契約等を行う権限
*取消権:本人が後見人等の同意を得ないで重要な財産行為等を行った場合,後見人等がその行為を無効なもの とし,原状に戻す権限

参考:東京家庭裁判所 成年後見申立ての手引 引用

2019年02月27日よくある質問:成年後見

保佐とは

保佐とは,本人が日常的な買い物程度は一人でできるが,金銭の貸借や不動産の売買等,重要な財産行為は一人ではできないというように,本人の判断能力が 著しく不十分な場合です。その場合,家庭裁判所が保佐開始の審判をするととも に,本人(被保佐人)を援助する人として 保佐人を選任します。

保佐開始の審判を受けた本人は,一定の重要な法律行為(民法第13条第1項 記載の行為)を行う際には,保佐人の同意が必要になります。保佐人は,本人が一定の重要な法律行為(預貯金の払い戻し,不動産の売却,介護契約締結など)を行う際に,その内容が本人の利益を害するものでないか注意しながら,本人がしようとすることに同意したり(*同意権),本人が既にしてしまったことを取り消したりします(取消権)。また,保佐人は,家庭裁判所で認められれば,特定の法律行為について,本人を 代理して契約を結んだりすることもできます(代理権)。

このように代理権を付け加えたい場合は,保佐開始の申立てのほかに,別途, 代理権を保佐人に与える申立てが必要であり,そして,本人の同意も必要になります。

なお,保佐が開始すると,本人は医師,税理士等の資格や会社役員の地位を失います。

「重要な法律行為(民法第13条第1項)」
  ①貯金を払い戻すこと
  ②金銭を貸し付けること
  ③金銭を借りたり,保証人になること
  ④不動産などの重要な財産に関する権利を得たり失ったりする行為をすること
  ⑤民事訴訟の原告となって訴訟行為をすること
  ⑥贈与,和解,仲裁合意をすること
  ⑦相続を承認,放棄したり,遺産分割をすること
  ⑧贈与や遺贈を拒絶したり不利なそれらを受けること
  ⑨新築,改築,増築や大修繕をすること
  ⑩民法第602条の一定期間を超える賃貸借契約をすること

「特定の法律行為」
  預貯金の払い戻し,不動産の売却,介護契約締結など

*同意権:本人が重要な財産行為等を行う際に,保佐人や補助人がその内容が本人に不利益でないかを検討して, 問題がない場合に了承する権限

参考:東京家庭裁判所 成年後見申立ての手引 引用

2019年02月27日よくある質問:成年後見

補助とは

補助とは,本人が一人で重要な財産行為を適切に行えるか不安があり,本人の利益のためには誰かに代わってもらったほうがよいというように,本人の判断能 力が不十分な場合です。その場合,家庭裁判所が,補助開始の審判をするととも に,本人(被補助人)を援助する人として補助人を選任します。

補助人は,本人が望む一定の事項についてのみ(同意権や取消権は民法第13 条1項記載の行為の一部に限る。),保佐人と同様,同意や取消しや代理をし,本人を援助していきます。

補助開始の場合は,その申立てと一緒に,必ず同意権や代理権を補助人に与える申立てをしなければなりません。また,補助開始の審判をすることにも,補助人に同意権又は代理権を与えることにも,本人の同意が必要です。

参考:東京家庭裁判所 成年後見申立ての手引 引用

2019年02月27日よくある質問:成年後見

任意後見制度とは

任意後見制度とは,本人があらかじめ公正証書で結んでおいた任意後見契約に 従い,本人の判断能力が不十分になったときに任意後見人が本人を援助する制度です。家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから,その契約の効力が生じます。

任意後見制度は、任意代理の委任契約の一類型であり、次の2点において通常の任意代理の委任契約と区別しています。

①実体面では、本人の後見事務(精神上の障害により判断能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護および財産管理に関する事務の全部または一部について代理権を付与すること)を委任事務とし、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から契約の効力が発生する旨の特約が付されていること

②手続面では、公正証書(公証人の関与による適法かつ有効な契約の締結を担保する等の観点による)による要式行為であること

参考:成年後見センター・リーガルサポート 任意後見ハンドブック
参考:東京家庭裁判所 成年後見申立ての手引 引用

2019年02月27日よくある質問:成年後見

後見制度支援信託とは

後見制度支援信託とは,後見開始事件について,本人の財産のうち,日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として親族後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託した上,信託財産の払戻しや信託契約を解約するなどの場合には,あらかじめ家庭裁判所が発行する指示書を必要とする仕組みです。

家庭裁判所が,信託の利用に適すると判断した事件について,専門職団体から推薦を受けた弁護士又は司法書士を後見人に選任し,後見制度支援信託の利用の適否を検討するように指示します。家庭裁判所の指示を受けた専門職後見人は,後見制度支援信託利用の適否を検討し,利用に適すると判断した場合には,信託先の信託銀行等,信託財産額,定期交付金額等を記載した報告書を家庭裁判所に提出します。家庭裁判所は専門職後見人に信託契約締結の指示書を発行し,専門職後見人は,信託契約を締結した後辞任し,本人の財産を親族後見人に引き継ぎます。

この際,専門職後見人は,引き継ぐべき財産の中から報酬を受領します。

参考:東京家庭裁判所 成年後見申立ての手引 引用

2019年02月27日よくある質問:成年後見

「親なきあと」の課題とは

それぞれ課題は十人十色ですが,大別すると「人・もの・金」に集約されます。
100%の解決策はありませんが、ケースとしてご覧ください。

①お金で困らないための準備をどうするか
 →将来の収入と支出を見積もって,足りなければ補う仕組みを整える
 →お金をたくさん残すことより,残したお金が本人の生活のために使われる仕組みを準備する

②生活の場をどのように確保するか
 →障害者支援施設の利用,グループホームの利用,ひとり暮らし,親族との生活

③日常生活で困った時のフォローをどうするか
 →まづは,福祉サービスを利用し地域に知ってもらう。知ってくれている人を増やす
 →兄弟姉妹や親族を必要以上に頼らず,サポーターの一人ととらえる

参考:障害のある子の「親なきあと」 渡部伸先生著

2019年02月27日よくある質問:親なきあと問題

将来の収入と支出

ご本人の収入と支出を把握してくだい。

収入
障害年金や各種手当、仕事による給与や工賃などがあり、受け取るために申請が必要なものがあります。
支出
親と離れて住む場合の住居費(入所施設、グループホームなど)や光熱費などの固定費、医療費、日常生活費などがあります。 住居費や医療費などにもさまざまな助成や減免措置があり、受けるためには手続きが必要となります

 

例えば、寿命を85歳として、本人の現在の年齢を引いた数を残年齢とします。 1年間の収入と支出を通帳などから計算し、収入から支出を引いた額を出します。この額に残年齢を掛けた額がマイナスであり、本人の預貯金で賄える額でなければ、残りの額が親が準備すべき額となります。

例)本人50歳、収入年120万円、支出年150万円、預貯金100万円の場合、
  950万円が親が準備すべき額となります。 (85-50)x(120-150)-100

実際に数字に表してみると、イメージがつくかと思います。
たとえ950万円残す余力がなかったとしても、収入を増やす(手続きをしていない年金や手当を申請するとか)、支出を減らす(住居の見直し、不要な保険・契約の見直し、消費の見直しなど)ことで、かかる費用をおさえることもできます。

逆に必要以上に財産を残しても、ご本人が未婚で兄弟姉妹がいない場合にはご本人死亡時に財産は国庫にゆく可能性もあります。
必要な時に必要な金額と少しの余裕を残すくらいの心づもりで良いと思います。

ただ、入院する場面に備えて、入院保障のある医療保険への加入することもご検討ください。

また、財産を残せなくても、最低限の生活を営める国の制度(生活保護など)もあるので「なんとかなる」くらいの心づもりで良いかとも思います。


次にこのお金を残す仕組みについて説明します。

参考:障害のある子の「親なきあと」 渡部伸先生著

2019年02月27日よくある質問:親なきあと問題

お金を残す仕組み

子どもに資産を残す手段

遺言書
遺言公正証書、自筆証書遺言などありますが、公証役場で遺言公正証書を作成しておくと、相続が発生した場合、家庭裁判所による検認が必要ありませんので、迅速かつ確実に遺言を執行することができます。
また、遺言執行者を指定しておくと、その後の処理がスムーズに進みます。
内容としては、他の相続人の遺留分を侵害しないこと、予備的遺言(その子が親より先に死亡した場合にどうするかなど)を考えておくことが重要です。
信託
信託とは、信託設定者(委託者)が信託契約や遺言などによって、その信頼できる人(受託者)に対して、土地や金銭などの財産を移転し、受託者において委託者が設定した信託の目的に従って信託の利益を受ける者(受益者)のためにその財産の管理・処分などをする制度です。

個人の契約として内容を組めるので、遺言ではできなかった受益者連続福祉型信託(受益者を親→障害をもつ子ども→ほかの子供またはお世話になった福祉施設など指定できるもの)など自由度が比較的高く設定できます。
ただ、贈与税・相続税など税金がかかってくる場合があるので考慮する必要があります。
また、長期にわたる可能性があるので、関係者の死亡や認知症発症などによる役割変更に対応したスキーム作りが必要となります。
保険
・「通常の生命保険契約」生命保険の受取人を子どもにすることで、死亡時に一括で支払われるもの。
・「生命保険信託」通常の生命保険ですが、死亡保険金の受け取り方を、信託財産として設定するもの。
共済・年金
・「障害者扶養共済制度」親が毎月掛け金を納付することで子どもに一定額の年金を終身支給するもの。
・「個人型確定拠出年金iDeCo」個人で定期的に掛け金を積み立て、運用して増やしたものを年金として老後に受け取るもの。

 

それぞれ、残す資産の額や子どもの障害の程度(お金の管理ができるかどうか)により選択する手段は変わってくるかと思います。

例えば、遺言書は、相続発生後まとまった額のお金が子どもに渡ることになりますので、いきなり大金を手にした子どもが浪費したり、騙されたりして早期に失う可能性があります。
ただ、成年後見人がついていたり、少額で本人がお金を使うほど事理弁識能力がない場合には、遺言書で充分かもしれません。


信託や年金は、契約を交わしておくと、ある時期に一定額(10万円/月、60万円/6か月とか)が長期で子どもに渡ることになりますので、浪費しても限度をもうけることができます。
ただ、信託などは、受託者(資産を預けて管理運用してくれる人)の選定が必要となります。任せられる方がいる場合は本人のために有意義にお金を使ってもらえる有効な手段です。

いづれにしても、親が自分の意思を伝えられるうちに、しっかりと仕組みを整えておくことが肝心です。

次にこのお金を管理する仕組みについて説明します。

 

参考:新しい家族信託 遠藤英嗣先生著
参考:障害のある子の「親なきあと」 渡部伸先生著

2019年02月27日よくある質問:親なきあと問題

お金を管理する仕組み

お金を管理する方法について説明します。

成年後見
制度
成年後見制度とは、本人の判断能力が精神上の障害により不十分な場合(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等)に、本人を法律的に保護し支えるための制度です。
家庭裁判所に後見の申し立てをし、家庭裁判所で審判をすることで開始します。
成年後見人の役割は、「財産管理」・「身上監護」・「裁判所への報告」です。
「財産管理」は、本人の財産の維持と管理を目的とする行為です。税金や施設の利用料金の支払い、本人の口座から日常生活に必要な現金を本人に渡す、不要になった不動産を処分する(居住用不動産の場合は家庭裁判所の許可が必要)などがあります。
「身上監護」は、施設に入所したり病院に入院したりするための手続き、療養や介護サービスを受けるための手配などがあります。 成年後見人が自ら介護行為をするわけではありません。
「裁判所への報告」は、年に一度または裁判所からの要請に応じて、所定の書式で報告書を作成して提出します。
日常生活
自立支援
一人では日常の生活に不安のある方が地域で安心して生活が送れるよう、社会福祉協議会が本人との契約に基づき、福祉サービスの利用援助を中心に、日常的な金銭管理や重要書類等の預かり・保管などの支援を通して、高齢者や障害のある方等の権利擁護を図ることを目的とした事業です。
具体的には、一人暮らしや高齢の親との同居の世帯などです。判断能力が十分でないために福祉サービスの適切な利用が困難な人が対象ですが、利用を希望する本人との契約になるので、契約ができるくらいの判断能力は必要になります。
知的障害者である子どもに利用させる場合、契約当事者は子どもになるので、子どもがこの事業の利用を希望していること、契約の内容を理解する能力が必要になります。
財産管理
委任契約
財産管理委任契約とは、自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、代理権を与える人を選んで具体的な管理内容を決めて委任するものです。任意代理契約とも呼ばれ、民法上の委任契約の規定に基づきます。財産管理委任契約は、当事者間の合意のみで効力が生じ、内容も自由に定めることができます。
契約の内容、期間、報酬など合意に基づいて契約書を作成するので、本人に契約を締結する能力が必要となります。

 

本人の事理弁識能力の程度によって、利用できる方法が違ってきます。

財産管理委任契約は、本人というよりは親御さんがご自分のために結ぶものとなります。同時に、任意後見契約を結んでおくとご自分の事務管理能力の衰えや認知症の発症により後見制度へ移行することができます。委任契約に、子どもの後見申立の条項を組み込むことで、ご自分が認知症になったら、子どもの後見人を家庭裁判所へ申し立てることもできます。

日常生活自立支援事業には契約を理解する判断能力が必要で、判断能力が不十分な場合は、成年後見制度を利用することになります。
また、日常生活自立支援では、支援する内容が限られていますが、成年後見制度では、後見人に代理権、同意見、取消権など、大きな権限が付与されています。

他にも、信頼のおける兄弟姉妹や親族にお金の管理をしてもらう方法もあります。
ただ、ご親族の負担や、お財布を区別することに不安を感じるご親族であれば、費用はかかりますが第三者に任せてしまうほうが安心・安全という考え方もあります。

参考:障害のある子の「親なきあと」 渡部伸先生著

2019年02月27日よくある質問:親なきあと問題

信託とは

信託とは、「自分の大切な財産を、信頼する人に託し、大切な人あるいは自分のために管理・運用してもらう制度」のこと。財産の管理・運用を、「誰のために?」「どういう目的で?」ということを自分が決めて、信頼できる人に託すこと(信託すること)が、信託の大きな特徴です。
財産を信託された人(*受託者)は、信託した人(*委託者)の決めた目的の実現に向けて信託された財産を管理・運用します。

*委託者:財産を受託者に移転し、信託目的に従い受益者のために受託者にその財産(信託財産)の管理・処分などをさせる者です。
*受託者:信託行為の定めに従い、信託財産に属する財産の管理または処分およびその他の信託の目的の達成のために必要な行為をすべき者です。
*受益者:受託者から信託行為に基づいて信託利益の給付を受ける権利と、このような権利を確保するために受託者に対して帳簿閲覧請求や信託違反行為の差止請求などをする権利を有する者です。

 

参考:一般社団法人 信託協会HP

2019年02月27日よくある質問:信託

障害者福祉型信託(親なき後支援信託)

障害者福祉型信託(通称:親なき後支援信託)とは、自分が亡くなった後、障害を持つ子どもの生活をみてくれる人に財産を託し、子どもに定期的に財産を引き渡すことで子どもの安定した生活を保障することを目的に設定します。

福祉型信託は、将来親御さんが亡くなった後に親の財産を障害のある子どもに確実に渡すため、あらかじめ生前に親と信頼できる人(親族や兄弟・姉妹)に財産の全部または一部を託し、自分の死後から財産管理をしてもらうための契約です。

委託者:自分  受託者:子どもの生活をみてくれる人  受益者:障害を持つ子ども

 

2019年02月27日よくある質問:信託

遺言信託

遺言信託は、遺言の方式による信託の設定です。

法は、遺言信託につき、「特定の者に対し財産を譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法」と定義づけています(信託法3条2号)。

これまで遺言書中で負担付遺贈等(相応の財産を相続や遺贈する代わりに、配偶者や障害をもつ子の生活の支援を担わせるという約束をさせることで、要保護者の生活や福祉を守ろうとするもの)では確実でなかった、受益者に遺す財産の長期にわたる確かな管理と、受益者(配偶者や障害をもつ子)への確実な生活費等の給付が確保できることになります。

信託銀行等で行っている遺言信託は、遺言書の作成・保管・執行であり、遺言書の中で信託を指示するものとは異なることが多いようです。

参考:新しい家族信託 遠藤英嗣先生著

2019年03月01日よくある質問:信託

遺言代用信託

遺言代用信託とは、本人がご自身の財産を信託して、生存中は本人を受益者とし、死亡後は配偶者や子どもなどを受益者と定めることによって、本人なきあとにおける財産の分配を信託によって実現しようとするものです。

遺言代用信託を利用すると、配偶者などが一時金の給付を受けることを予め契約に定めておくことにより、給付金をスムーズに引き出すことができます。
例えば、葬儀費用などは通常、遺産分割協議が整うまでの間は、預金口座は全て支払い停止になることから、この口座から葬儀費用を引き出すことはできません。
しかし、遺言代用信託を利用して、あらかじめ、「私が亡くなったら、妻の口座に葬儀費用として200万円を振り込む」と指定しておくことで、受託者は、速やかに指定された口座に指定された金額を振り込むことができます。

祖父母さま等が死亡後、残されたご家族の生活の安定のために、年金のように定期的に一定額を渡すことが可能です。
例えば、残されたご家族が未成年の場合など、その方がご自身で財産を管理することが難しいケースでは、予め毎月の受取額などを決めておけば、指定された口座に指定された金額を毎月振り込みますので、ご自身がお亡くなりになった後の未成年のご家族の財産管理にも利用できます。

参考:一般社団法人 信託協会HP

2019年03月01日よくある質問:信託

特定贈与信託

特定贈与信託は、特定障害者(重度の心身障がい者、中軽度の知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障がい者等)の方の生活の安定を図ることを目的に、そのご親族や篤志家等が金銭等の財産を信託銀行等に信託する(つまり、信託銀行等に預ける)ものです。

信託銀行等は、信託された財産を管理・運用し、特定障害者の方の生活費や医療費として定期的に金銭を交付します。また、万が一、特定障害者の方のご両親など贈与した方が亡くなっても、特定障害者の方がお亡くなりになるまで信託銀行等が引続き財産を管理・運用するので、ご親族等亡き後の特定障害者の方の将来の生活に備えることが可能となります。

通常、1年間に贈与を受けた額の合計額が110万円を超えると贈与税がかかりますが、この特定贈与信託を利用すると、特別障害者の方については6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の方については3,000万円を限度として贈与税が非課税となります。

参考:一般社団法人 信託協会HP

2019年03月01日よくある質問:信託

生命保険信託

生命保険信託とは、信託銀行等が生命保険の保険金受取人となり、万が一の時に、死亡保険金を受け取り、保険契約者が生前に定めたご親族等に、あらかじめ決められた方法で、受け取った保険金により金銭を支払うものです。

生命保険信託では、保険契約者の方が、生前に受取人を定め、その支払い方法を決めておくことができます。
例えば、子どもが未成年で、死亡保険金を直接受け取っても管理することができない場合、あらかじめ、「毎月、生活費として10万円を子供の世話をしてくれる人の口座に振り込む」と決めておけば、信託銀行等がそのとおりに支払います。
信託銀行等が管理する財産の一部払出しや支払条件の変更等を行う[*指図権者]を併せて決めておくことができますので、このような[指図権者]を決めておけば、より安心して利用することができます。

例えば、第一受益者を配偶者とし、配偶者が亡くなった場合には、第二受益者を子どもとするといった具合に、第三受益者まで定めておいたり、第二受益者がお亡くなりになった場合には、その信託は終了し、残った財産は予め指定した公益法人(残余財産帰属権利者)に寄付すると定めておくこともできます。

*指図権者:信託契約の約定や委託者との間での委任契約に基づき、受託者に対し信託財産の管理運用や信託を用いて行う事業の遂行につき具体的な指示を行う者。

参考:一般社団法人 信託協会HP

2019年03月01日よくある質問:信託

受益者連続信託(後継ぎ遺贈型信託)

後継ぎ遺贈型の受益者連続信託とは、例えば、承継させたい財産を持っている本人が、その財産を信託して、自らが第一の受益者となり、本人の死亡により配偶者が第二の受益者となり、配偶者の死亡により子が第三の受益者になるというように、受益者の死亡により順に他の者が受益権を取得していく、つまり、財産の承継先を決めることができる信託です。

遺言書では、「自分が死んだら、この土地は子どもに相続させる」と決めることはできても、「その子どもが亡くなったら、孫に相続させる」ということを決めることはできません。自分の意思は決めることはできますが、子どもの意思までは決められないのです。。

後継ぎ遺贈型の受益者連続信託では、「自分が死んだら子どもに財産を承継させ、その子どもが死んだら、孫に財産を承継させる」と設定することができます。また、「子どもが死んだら、お世話になった福祉施設に承継させる」と第三者や団体に受益者を設定することもできます。

参考:一般社団法人 信託協会HP

2019年03月01日よくある質問:信託