お金を残す仕組み

子どもに資産を残す手段

遺言書
遺言公正証書、自筆証書遺言などありますが、公証役場で遺言公正証書を作成しておくと、相続が発生した場合、家庭裁判所による検認が必要ありませんので、迅速かつ確実に遺言を執行することができます。
また、遺言執行者を指定しておくと、その後の処理がスムーズに進みます。
内容としては、他の相続人の遺留分を侵害しないこと、予備的遺言(その子が親より先に死亡した場合にどうするかなど)を考えておくことが重要です。
信託
信託とは、信託設定者(委託者)が信託契約や遺言などによって、その信頼できる人(受託者)に対して、土地や金銭などの財産を移転し、受託者において委託者が設定した信託の目的に従って信託の利益を受ける者(受益者)のためにその財産の管理・処分などをする制度です。

個人の契約として内容を組めるので、遺言ではできなかった受益者連続福祉型信託(受益者を親→障害をもつ子ども→ほかの子供またはお世話になった福祉施設など指定できるもの)など自由度が比較的高く設定できます。
ただ、贈与税・相続税など税金がかかってくる場合があるので考慮する必要があります。
また、長期にわたる可能性があるので、関係者の死亡や認知症発症などによる役割変更に対応したスキーム作りが必要となります。
保険
・「通常の生命保険契約」生命保険の受取人を子どもにすることで、死亡時に一括で支払われるもの。
・「生命保険信託」通常の生命保険ですが、死亡保険金の受け取り方を、信託財産として設定するもの。
共済・年金
・「障害者扶養共済制度」親が毎月掛け金を納付することで子どもに一定額の年金を終身支給するもの。
・「個人型確定拠出年金iDeCo」個人で定期的に掛け金を積み立て、運用して増やしたものを年金として老後に受け取るもの。

 

それぞれ、残す資産の額や子どもの障害の程度(お金の管理ができるかどうか)により選択する手段は変わってくるかと思います。

例えば、遺言書は、相続発生後まとまった額のお金が子どもに渡ることになりますので、いきなり大金を手にした子どもが浪費したり、騙されたりして早期に失う可能性があります。
ただ、成年後見人がついていたり、少額で本人がお金を使うほど事理弁識能力がない場合には、遺言書で充分かもしれません。


信託や年金は、契約を交わしておくと、ある時期に一定額(10万円/月、60万円/6か月とか)が長期で子どもに渡ることになりますので、浪費しても限度をもうけることができます。
ただ、信託などは、受託者(資産を預けて管理運用してくれる人)の選定が必要となります。任せられる方がいる場合は本人のために有意義にお金を使ってもらえる有効な手段です。

いづれにしても、親が自分の意思を伝えられるうちに、しっかりと仕組みを整えておくことが肝心です。

次にこのお金を管理する仕組みについて説明します。

 

参考:新しい家族信託 遠藤英嗣先生著
参考:障害のある子の「親なきあと」 渡部伸先生著

2019年02月27日|よくある質問:親なきあと問題